介護職は対人援助の現場で活躍するスペシャリスト。そのため、利用者との良好な人間関係を築くためにも、コミュニケーションの技法は絶対に欠かせないスキルと言えます。また介護現場では班やチームで仕事を進めるケースも多いので、職員同士で常に情報を共有する必要もあります。ここでもコミュニケーションの技法が役に立ちます。いずれにしても介護職として働くのであれば、人間関係を築くためのスキルとして、コミュニケーションの技法をマスターしていることが求められます。
一口にコミュニケーションといっても、会話や読み書きのように言葉を使用するものだけではありません。言語コミュニケーション以外にも、表情やジェスチャーあるいは声のトーンや沈黙に至るまで、様々な非言語コミュニケーションがあります。コミュニケーションの技法は、言語に限らず非言語もフル活用して、利用者との人間関係づくりにも役立ちます。
ではコミュニケーションの技法には、どのようなものがあるのでしょうか。介護現場で最も使われているのが共感の技法、さらに繰り返しの技法や保障の技法です。身体が不自由な高齢の利用者にとっては、普段から様々な感情を抱えているものです。このような方々に対しては、まず気持ちに寄り添いながら温かい態度で接し、相手を十分に理解していることを示します。これが共感の技法です。それを具体化するものとして、利用者の発した言葉をあえて介護職が反復してあげるのが、繰り返しの技法。さらに、不安などを訴える利用者には、保障の技法によって「大丈夫ですよ」「安心してください」といった言葉で不安を軽減し、勇気や元気を与えます。